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アラサーOLの、もがく日記。

ことり

 

ことり

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 発行されたばかりの頃に、本屋さんで売り切れのため買いそびれたまま忘れていた本です。図書館でふらふらと書棚を見ていたら出会いました。まるで作中で小父さんが本の中に小鳥を見つけるように、ふとした拍子に見つけてしまいました。

 一言でいえば『小父さんの話』です。穏やかで静かで、散りばめられた小さな優しさと悲しさが代わる代わるキラキラと降り注ぐようなお話です。先日の猫鳴りのような強烈な筆力とは少し違い、選び抜かれた言葉で普遍的な事象を珠玉の儀式に変えてしまうような日本語が並んでいます。
 
メジロは水よりもガラスよりも、この世にある何よりも澄んだ声を持ち、奏でる歌は透き通った声で編まれたレースそのもので、目を凝らせば光の中に模様が浮かび上がって見えてきそうだった。
 
鳥の鳴き声をこれほど綺麗に表現した日本語は、この本の中以外存在しないのではないかと思います。この本は美しいという言葉より『綺麗』という言葉が似合います。
 
自分一人、どこにつながるとも知れないたどたどしい線を残しながら、結局は空から墜落しているのだ、という気分になった。
 
世界が広いからと言って、幸せが大きいわけではない。不器用な小鳥。なんて淡く綺麗な世界なのか。どんなに穏やかな文面にも、等しく悲しさが薄っすらと存在しているのです。何もかもが仕方が無く、何もかもが正しくそこにある。人の一生は、鳥瞰的に見れば全て、そういうものなのかもしれないですね。
 
本の感想に水を差すようですが、実家にいる13歳になるオカメインコ(大人女子)を思い出しました。しおらしさも、可憐さも、か弱さも皆無な鳥です。そして小鳥とは呼べない大きさです。親の仇のように超高速超強烈なクチバシ攻撃を繰り出し、機嫌が悪いと狂ったように鳴き叫びます。チワワが無邪気に遊ぼうと近付こうものならブチ切れて本気で眼球を潰しにかかります。散歩させようと(狭い室内で骨折するといけないので羽は定期的に切っています)鳥籠から出した時の歩く姿なんて、さながら女王様のようです。彼女は13歳になる今も、ウンウンと力みながら卵を産みます。卵を産む前に呪文のようにモシャモシャと何かを喋るのですが、あれは一体何なんだろう。13年経った今も解明できていませんが、呪文のおかげで彼女の産卵は神秘性を帯びます。物心ついたころから鳥を飼い続けてきましたが、独特の魅力があります。個性と感情がしっかりあるので、良い家族になります。また鳥飼いたいな。
 
皆様素敵な土曜日を。